投稿日: 公的資金等

2023年度「NEDO先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」に採択されました。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した2023年度「NNEDO先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」に応募し採択されました。
NEDO採択情報

【本事業の概要】
脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、エネルギー・環境分野(エネルギー・環境新技術先導研究プログラム)において、2040年以降(先導研究開始から15年以上先)の実用化・社会実装を見据えた革新的な技術シーズを発掘・育成し、国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目的として、先導研究を実施します。

【事業期間】
2023年度〜2025年度

【テーマ名】
ヒト嗅覚受容体応答に基づく世界初の匂い情報DXの研究開発

プレスリリース(共同記者発表)を行いました。(NTTデータ様より)

NTTデータ様より組合せ最適化技術を活用したニオイ再構成技術に関するパートナーシップ契約を締結について記者発表を行いました。

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2023/032700/

 

2023年3月27日

株式会社NTTデータ
株式会社香味醗酵

株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間 洋、以下「NTTデータ」)、株式会社香味醗酵(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:久保 賢治、以下「香味醗酵」)は2023年4月1日に、組合せ最適化技術を活用した匂い再構成技術に関するパートナーシップ契約を締結します。
本パートナーシップは、2022年11月から両社で取り組む「少数の匂い成分から膨大な匂い・香りを作り出す組合せ最適化に関する」共同実験注1の成果に基づくものです。匂いの組み合わせ計算は、対象とする匂い成分の種類数が大きくなるほど計算負荷が高まるため、従来の処理方法では1000種類が限界でしたが、当該実験を通して、効率的な組合せ最適化の計算モデル適用により8000種類以上に拡張することが可能であることが確認できました。8000種類の組み合わせ計算実現により、世の中の非常に広い範囲の匂いを再構成することが可能となります。この計算結果を利用し、今後技術的連携にとどまらず、両社で匂いビジネスを推進していきます。
今後両社は、香料開発の効率化・高度化だけでなく、映像産業やメタバースへの匂い情報の実装などを含めた新たなビジネスの開拓に取り組み、2025年までに10件以上の匂いに関するビジネス創出をめざします。

背景

NTTデータ、香味醗酵、および日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、2022年11月より香味醗酵が保有する数千種類の匂い成分から最適な組み合わせを計算することで、少数の匂い成分でさまざまな匂い・香りを瞬時に再構成する実機検証注2を行ってきました。本実験では、通常香味醗酵がこれまで実施していた計算方法よりも、8倍の種類数への対応が可能であることが確認できました。

実験における成果

香味醗酵は、さまざまな匂いを定量的に測定し再構成することを可能とする技術を保有していますが、数千種類の匂い分子から適切な組み合わせを探し出すには大規模な計算を実行する必要があり、従来の手法では1000種類以上の組み合わせ計算を精度よく計算することはできませんでした。この課題に対して、実証実験では「匂い分子の組合せ最適化」問題の実験プロセスの改善に向けて、計算規模の拡大に向けた計算方法の検討と、従来手法との比較評価を実施しました。具体的には、以下のような結果が得られています。

  • 大規模な計算の実現
    香味醗酵における既存ソリューションでは1000種類が限界でしたが、組合せ最適化計算の規模を8000種類に拡大しました。香味醗酵が検討しているさまざまなビジネスの実施には、8000種類を対象として計算が必要でしたが、このビジネス要件を満たすことができることを確認しました。
  • 最適化計算精度の向上
    8000種類の大規模計算結果においても、ターゲットとなる香りに近い嗅覚受容体の反応が得られることが期待できる結果が取得できており、計算規模だけでなく、計算精度においても一定の有効性を確認しました。
  • 匂いのABテスト工程支援に向けた活用
    ターゲットとなる匂いに完全一致するものを、合成できないケースもあります。その際には、実際に試作品を調合してABテストを行う必要があります。試作品の調合には手間とコストがかかるため、求める匂いに近い候補にできる限り絞り込む必要がありますが、このようなケースにおいても本共同実験で適用した手法が有効であることが確認できました。

パートナーシップについて

これらの結果を受けて、NTTデータ、香味醗酵では、2023年4月1日よりパートナーシップ契約を締結し、ビジネス連携も含めた検討を開始します。
本パートナーシップでは、精度の劣化を最小限にしながらコストを抑える匂いの組み合わせ候補の算出方法の考案など、匂いの再構成の計算以外の業務においても提携を進め、香味醗酵とNTTデータで匂いビジネスの推進を行います。

今後について

今後両社は、香料開発の効率化・高度化だけでなく、映像産業やメタバースへの匂い情報の実装などを含めた新たなビジネスの開拓に取り組み、2025年までに10件以上の匂いに関するビジネス創出をめざします。また、NTTデータでは、香料分野に限らずさまざまな分野で組合せ最適化問題に対する新たな手法の適用によるビジネスイノベーションを進めていきます。グローバルに量子コンピューター/次世代アーキテクチャー・ラボのサービス展開を行い、今後3年間で100件以上の新手法による業務改善の実現をめざします。

注釈

  • 注1少数の匂い成分から膨大な匂い・香りを作り出す組合せ最適化に関する実験開始
    ~匂いの再構成技術開発による香料開発の効率化・高度化を目指して~
    https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/110200/
  • 注2本実証実験では、香味醗酵が保有する数千種類の匂い成分から最適な組み合わせ問題に対する、NTTデータのデータ分析技術、および、NTTが開発を進める次世代光イジングマシンLASOLVの適用可能性を検証しています。
  • 文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。